命題82
「劣線分には,それに付加されて平方においてのみ全体と通約不可能で,全体と付加された線分でできた正方形の和を有理面積とし,それらによって囲まれた長方形の2倍を中項面積とするただ1つの線分がある」
ABを劣線分とし,BCがABに付加されたとする。
このとき,AC,CBは平方においてのみ通約不可能で,AC,CBでできた正方形の和を有理面積とし,AC,CBによって囲まれた長方形の2倍を中項面積とする線分である。
].76
AB上には,同じ条件を満たす線分が他にはない事を示す。
可能ならば,BDが付加されたとする。このとき,AD,DBは平方においてのみ通約不可能で,先に延べた条件を満たす線分である。
].76
AD,DBでできた正方形の和と,AC,CBでできた正方形の和との差は,AD,DBでできた長方形の2倍と,AC,CBでできた長方形の2倍との差に等しく,AD,DBでできた正方形の和と,AC,CBでできた正方形の和は有理面積である。
よって,AD,DBでできた長方形の2倍は,AC,CBでできた長方形の2倍より有理面積だけ大きい。これはその両方ともが中項面積なので,不可能である。
].26
よって,劣線分には,それに付加されて平方においてのみ全体と通約不可能で,全体と付加された線分でできた正方形の和を有理面積とし,それらによって囲まれた長方形の2倍を中項面積とするただ1つの線分がある。
証明終了
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