命題83
「中項面積と有理面積との差に等しい正方形に辺は,それにたされて全体と平方において通約不可能であり,それらの線分上,すなわち全体の線分上とたされた線分上の正方形の和が中項面積であり,それらの線分でできた長方形の2倍が有理面積であるようなただ1つの線分である」
中項面積と有理面積との差に等しい正方形の辺をABとし,BCがABにたされるとする。そのとき,ACとCBは平方において通約不可能で,与えられた条件を満たすとする。
].77
ABにたされて同じ条件を満たす線分は他にはない事を示す。
もし可能ならば,BDがたされたとする。そのとき,ADとDBは平方において通約不可能であり,与えられた条件を満たす。
].76
AD上,DB上の正方形の和とAC上,CB上の正方形の和との差は,長方形AD,DBの2倍と長方形AC,CBの2倍との差に等しく,長方形AD,DBの2倍と長方形AC,CBの2倍はともに有理なのでその差も有理。よって,AD上,DB上の正方形の和とAC上,CB上の正方形の和との差は有理面積である事になるが,ともに中項面積なので不可能である。
].26
ゆえに,ABにたされて全体と平方において通約不可能であり,前述の条件を満たす線分はただ1つしかない。
証明終了
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